ブリーフケースの持ち手修理
2016.10.06

ブリーフケースのメンテナンスのご依頼をお受けしました。
とてもしっかりとしたつくりのよいブリーフケースです。
ご依頼を受けた時、持ち手の革が切れてしまっていて、糸でかろうじてつながっている状態!

持ち手の他にもコーナー部分の擦り切れが目立つ状態。
諸所メンテナンスも行うことにしました。

持ち手は既存のデザインを踏襲。
たまたま似た色の革があったのでよかった!
手縫いでしっかりとつくります。
このボリューム感は持ち手ならではです。

そして完了したのがこちらです。

持ち手、いい感じ!
パソコンを入れて持ち歩かれるとのことなので、どのくらいもってくれるかどうか・・!
鞄にとっての持ち手の重要さや存在感がよくわかります。


コーナー部分は前後四隅のテープを新調。

後ろポケットがぶかぶかになってきていたので、マグネットホックも取付。

全体的にクリーニングとクリームでのメンテナンスも。
面白かったのが、後ろ面のくすみをクリーニングしたところ、青い染料落ちが。
Gパンの色だ!とすぐにわかりました(^^)
知らないうちに色移りしているものなんですね!
革から服へ移るイメージが強かったのですが、服から革へもあるのかと。
綺麗にしてクリームを塗り込んで布で磨くと・・現れてくるツヤツヤ!
これが革の醍醐味を味わえる瞬間です。
いわゆる革の「経年変化」ですが、質の違いがあるなぁと最近実感しています。
本革イコール「いい経年変化」が起こるとは限りません。
<革の品質&よい仕立て>は大前提で、いつの間にか蓄積されていた経年変化の種みたいなものが、時々のお手入れの時間によりぐぐぐっと呼び起こされて、初めて「かっこいい経年変化」が表面化するのだと。。
革の艶が出て来る瞬間は、「わあぁ!!」と声が出るはずです。笑
メンテナンスは製作とはまた別の奥深い技術のため、私もそこまでまだ腕がないのですが、少しずつ習得できたらと思います。
ちなみに初心者の私でもなんとか使えているのがこちら。

CollonilのレザーソープとDIAMANTクリームです。
今回もこの2つしか使用していません。
メンテナンスグッズっていろいろとありすぎて迷ってしまいますが、タンニン鞣し革だったらこの2つで結構楽しめると思います。
愛用しているレザーグッズをお持ちの方、是非メンテナンスも楽しんでみてください!
(クリームは手で塗り込むことを絶対オススメします。革とたくさん触れ合えるからです笑)
大変立派なブリーフケースをよく観察することができる、とてもよい機会となりました。
本体や内側がどんなに綺麗でも、一箇所の切れやほつれだけで見た目が古ぼけたり使うことができなくなってしまったり。
でも小さな修理やメンテナンスでまだまだ使うことができる。これが使い捨てのものとは違う、革という素材の大切なところだと思います。
貴重なご依頼をありがとうございました!