監査の原則(ISO)とは?7つの原則の重要性

続いて監査の原則について解説していきます。

猫弟子

監査の原則は理解する必要はありますか?

猫先生

原則を理解して監査することが重要だよ!監査の原則を理解する前にこちらの記事も事前に読んでおいてね♪

監査の原則

監査の原則

内部監査は、組織がその実績(パフォーマンス)を改善するための情報を提供することによって、経営方針及び管理業務を支援する効果的、かつ、信頼のおけるツールです

そのためには、内部監査は、次の7つの原則に基づき、計画し、実施し、報告しなければなりません。

内部監査の7つの原則
  1. 高潔さ:専門家であることの基礎
  2. 公正な報告:ありのままに、かつ、正確に報告する義務
  3. 専門家としての正当な注意:監査の際の広範な注意及び判断
  4. 機密保持:情報のセキュリティ
  5. 独立性:監査の公平性及び監査結論の客観性の基礎
  6. 証拠に基づくアプローチ:信頼性と再現性のある監査結論への合理的な方法
  7. リスクに基づくアプローチ:リスクと機会を考慮する監査方法

ひとつひとつ解説していきます!

(1)高潔さ:専門家であることの基礎

高潔さは、監査活動において非常に重要な原則です。企業活動もやはり品性高潔でなければいけません。

監査員や監査プログラムを運営する人々には、以下の具体的なガイドラインを守ることが求められます。

高潔さ
  1. 倫理的な行動
  2. 能力と責任
  3. 公平な進め方
  4. 判断力の影響への敏感さ

倫理的な行動

自身の業務を倫理的に、誠実に、責任感をもって遂行することが必要です。これには、正直さ、誠実さ、そして情報の機密性を尊重することが含まれます。

能力と責任

監査活動は、その力量が確保された場合にのみ実施されるべきです。つまり、監査員は適切な訓練と経験を持ち、必要な知識を備えている必要があります。

監査員の必要な能力についてはこちらの記事を参考にしてください。

公平な進め方

監査活動は、公平かつ偏りのない方法で行われるべきです。全ての関係者に対して公正であり、何らかの特定の利益団体に有利になるような偏りを持ってはいけません。

判断力の影響への敏感さ

監査の実施中に、監査員の判断に影響を及ぼす可能性のあるすべての要因に対して敏感であることが求められます。これには、利害関係者からの圧力や外部要因からの影響も含まれます。

高潔さは、監査活動の信頼性と品質を確保し、組織やステークホルダーに対する誠実さを維持するために欠かせない原則です。

自身の業務を倫理的かつ誠実に、責任感をもって遂行することが大切です。また、監査活動は、その力量が確保された場合にのみ実施され、公平かつ偏りのない方法で行われるべきです。

監査の実施中には、監査員の判断に影響を及ぼす可能性のあるすべての要因に敏感であることが求められます。

(2)公正な報告:ありのままに、かつ、正確に報告する義務

監査の結果や報告は、監査活動の真実を反映し、正確性と客観性を持つことが求められます。決して隠したりウソを報告したりしてはいけません。

具体的なガイドラインとして以下の点が挙げられます。

公正な報告
  1. ありのままの報告
  2. 正確な報告
  3. 障害や意見の相違の報告
  4. 明確で完全なコミュニケーション

ありのままの報告

監査所見や監査結論は、実際の監査活動で発見された事実や問題を忠実に反映する必要があります。事実を隠したり、改ざんしたりしてはなりません。

正確な報告

報告される情報は正確でなければなりません誤った情報を提供することは許容されません。データや証拠の正確性を確保するために注意が必要です。

障害や意見の相違の報告

監査中に発生した重要な障害や、監査チームと被監査者との解決に至らない意見の相違についても報告するべきです。これにより、透明性と公正性を保つことができます。

明確で完全なコミュニケーション

報告やコミュニケーションは、明確かつ完全であるべきです。情報は客観的で、誤解の余地がないように伝えられるべきです。

公正な報告は、監査活動の信頼性を高め、組織とそのステークホルダーに対して正確な情報を提供する役割を果たします。この原則は監査プロセス全体で遵守されるべきです。

監査所見や監査結論は、実際の監査活動で明らかになった事実や問題を正確に反映する必要があります。

報告される情報は正確であるべきで、監査中に発生した重要な障害や、監査チームと被監査者との合意に至らない意見の違いについても報告することが大切です。

報告やコミュニケーションは、明確でわかりやすいものであるべきです。

(3)専門家としての正当な注意:監査の際の広範な注意及び判断

監査員は、専門家としての責任を全うするために、次の原則に従う必要があります。

専門家としての正当な注意
  1. 業務の重要性への理解
  2. 信頼の維持
  3. 根拠に基づく判断
  4. 専門知識の活用

業務の重要性への理解

監査員は、自身が担当する業務の重要性を正確に理解する必要があります。重要な業務にはより高い注意が必要であり、それに応じた監査活動を実施します。

信頼の維持

監査員は、監査依頼者や他の利害関係者から寄せられる信頼を損なわないように努力します。信頼性は監査活動の骨子であり、正当な信頼を築くためには専門的かつ公正なアプローチが必要です。

根拠に基づく判断

監査員は、全ての監査状況において、根拠に基づいた判断を行う能力を持つ必要があります。主観的な意見や予測に基づく判断ではなく、客観的なデータと情報をもとに判断を下します。

専門知識の活用

監査員は、専門知識を活用して業務を遂行します。専門知識は監査の質と信頼性を向上させるために不可欠です。

専門家としての正当な注意は、監査活動において信頼性と品質を保つために欠かせない原則です。これに従うことで、組織やステークホルダーに対して価値のある情報と洞察を提供することが可能となります。

監査員は、自身が担当する業務の重要性を正確に理解する必要があります。信頼を築くため、監査員は監査依頼者や他の利害関係者からの期待に応えるよう努力します。

また、根拠に基づいた判断を行う能力を持ち、専門知識を駆使して業務を遂行します。

(4)機密保持:情報のセキュリティ

監査員は、情報のセキュリティについて非常に慎重であるべきです。以下の原則に従うことが重要です。

機密保持
  1. 得た情報の適切な利用
  2. 機密情報の保護
  3. 取り扱いに注意を要する情報
  4. 監査情報の適切な保管
  5. 監査報告書の機密性

得た情報の適切な利用

監査員は、自身の個人的な利益や他者の利益を損なわないよう、得た情報を適切に利用します。監査情報は正当な目的にのみ使用されるべきであり、不適切な方法で利用されないようにします。

機密情報の保護

特に機密性の高い情報に対しては、特別な注意を払います。機密情報は不正アクセスから守り、不正な使用を防ぐために適切なセキュリティ対策を講じます。

取り扱いに注意を要する情報

一部の情報は特に機密性が高く、慎重に取り扱う必要があります。これらの情報に対しては、厳格な取り扱い基準を守り、機密性を維持します。

監査情報の適切な保管

監査情報は、適切な方法で保管され、必要な場合にアクセスできるようにします。また、情報の保存期間や廃棄についても適切な方針を策定し遵守します。

監査報告書の機密性

監査報告書は、適切な対象者に提供され、機密情報が不正に漏洩しないように配慮します。

機密保持の原則は、監査活動において信頼性とプロフェッショナリズムを維持し、情報の適切な取り扱いを確保するために欠かせないものです。

監査員は、得た情報を慎重に利用し、自身の個人的な利益や他者の利益を損なわないよう心がけます。

特に機密性の高い情報については、特別な注意を払います。一部の情報は特に機密性が高く、慎重に取り扱う必要があります。

監査情報は、適切な方法で保管され、必要な場合にアクセスできるようにします。監査報告書は、適切な対象者に提供され、機密情報が不正に漏洩しないように配慮します。

(5)独立性:監査の公平性及び監査結論の客観性の基礎

監査員は、監査の対象となる活動から独立しており、全ての状況で偏りや利益相反がないように行動する必要があります。

内部監査においても、できる限り監査の対象となる部門から独立した立場を維持することが望ましいです。

監査員は、監査所見と監査結論が監査証拠に基づいていることを確実にし、監査プロセス全体で客観性を保持する必要があります。

ただし、小規模な組織では、完全な独立性を確保することが難しい場合もあります。偏りを避け、客観性を保つために最大限の努力を払うことが大切です。

小さな会社だとスタッフが少ないため、担当外の業務に関しては他のスタッフに監査してもらったら大丈夫!

(6)証拠に基づくアプローチ:信頼性と再現性のある監査結論への合理的な方法

監査証拠は検証可能であるべきです。監査は通常、制約のある時間と資源内で実施されるため、監査証拠は通常、入手可能な情報のサンプリングに基づくことが一般的です。

サンプリングは監査結論の信頼性に密接に関連しており、適切に活用することが大切です。

監査証拠は、確認できる情報や証拠のことです。通常、監査は制約のある時間やリソース内で行われますので、すべての情報を調査することは難しいです。

代わりに、利用可能な情報の一部を調査することがあります。これをサンプリングと呼びます。

サンプリングの適切な利用は、監査の信頼性に大きな影響を与える要素であり、慎重に行う必要があります。

(7)リスクに基づくアプローチ:リスクと機会を考慮する監査方法

リスクに基づくアプローチは、監査が監査依頼者にとって本質的な事項に焦点を当てることを確保し、監査計画、実施、報告に実質的な影響を持たせることを目指します。

リスクに基づくアプローチは、監査を効果的に行うために、問題の核心に集中し、監査活動全体に大きな影響を与える方法です。

まとめ

今回は、内部監査について詳しく説明しました。次の記事では、内部監査員の力量(スキル)について記載していきます。