今回は、内部監査を行う際に使用するチェックリストを作成してきます。
監査のチェックリストは、監査をスムーズに進めるために有効なツールなんだ。チェックリストの注意点についても解説していくね!
Contents
チェックリストについて
監査チェックリストは、監査の効率的な実施を支援する重要なツールです。以下は、一般的なチェックリストに含まれる項目です。
- チェック項目(Look for)
- 証拠として見るもの(Look at)
チェック項目(Look for):
チェック項目には、監査の際に調査したい具体的な事項や質問事項を記述します。
これらの項目は、監査員が被監査者に対して質問したり、調査したりする内容を示します。例えば、プロセスの特定の手順や規則の遵守に関する質問が含まれることがあります。
証拠として見るもの(Look at):
証拠として見るものには、監査の際に収集したり調査したりする証拠となる情報や文書、記録、説明、活動などを記載します。
これらの証拠は、監査の結果をサポートし、適合性または不適合性を評価するために使用されます。
たとえば、特定の文書(契約書、プロセスの記録、トレーサビリティの証拠など)が証拠として挙げられることがあります。
監査チェックリストを活用することにより、監査の効果的な実施が容易になり、監査漏れや誤りを防ぐことができます。
また、チェックリストは監査の結果を詳細に文書化し、将来の監査や報告のために重要な資料となります。
監査チェックリストの作成
(1)監査チェックリストの作成手順
監査チェックリストは、監査の実施時に使用するためのツールで、特定の質問や項目を整理しています。
これにより、監査員は監査対象の情報を収集し、評価するための指針を持つことができます。以下は、一般的なチェックリストの項目の例です。抜け漏れがないようにチェックできるようになります。
上記で記載している通り、「チェック項目 (Look for)」と「証拠として見るもの (客観的証拠)(Look at)」を盛り込んで作成します。
監査員が調査したい具体的な質問や項目や、監査証拠として収集すべき文書、記録、説明、活動などの情報が含まれます。
例えば、「適切な文書承認が行われていますか?」という質問が含まれることがあります。例えば、上記の質問に対する証拠として、関連する文書や承認記録が挙げられます。
カスタマイズ可能
監査チェックリストは、特定の監査対象に適合するようにカスタマイズできます。
また、チェックリストを使用することで、監査活動を効率的に計画し、重要な情報を収集し、監査漏れを防止するのに役立ちます。
チェックリストの項目は、監査の目的や対象に応じて調整できます。
(2)作成の例
以下は、チェックリストの作成例です。この例は、特定の要求事項に基づいて質問事項(チェック項目)を作成し、それに関連する監査証拠としての文書や情報を特定しています。
規格の要求事項:
FSMS 7.5.2 c) 適切性及び妥当性に関する、レビュー及び承認。
質問事項(チェック項目):
- 発行前に、適切かどうかの観点から文書を承認していますか?
監査証拠となるもの:
- 文書(○○規定、△△手順書)
質問事項には、要求事項の内容を反映するように作成され、その質問に対する答えをサポートするための監査証拠(文書)も指定されています。
チェックリストの他の項目も同様に、規格の要求事項に基づいて作成され、対応する監査証拠が指定しなければいけません。
これにより、監査員は特定の要求事項を確認し、評価するための情報を収集するのに役立つツールとしてチェックリストを使用できます。
規格の要求事項、質問事項(チェック項目)、監査証拠となるもの(文書)の3点セットと覚えておきましょう!
チェックリストの利用法
(1)監査チェックリストから監査証拠へ
監査チェックリストは、監査の出発点であり、次のステップに進むためのツールです。
以下は、監査チェックリストから監査証拠へ進む一般的なプロセスです。
一つ一つ見ていきます。
チェックリストの質問を「きっかけ」として使用
チェックリストに含まれる質問は、監査の初期段階で被監査者に提出されます。これらの質問は、特定の手順やルールが文書に記載されていることを確認するのに役立ちます。
質問を重ねて深堀りし、監査証拠を収集
チェックリストの質問が初期情報を提供すると、監査員はそれを基にさらなる詳細情報を収集します。追加の質問や文書の提出を通じて、特定の手順やルールの実施に関する詳細を確認します。
監査証拠を収集
質問や文書提出を通じて、実際の実施状況に関する証拠を収集します。これは、文書のコピー、記録、写真、証言などの形で表れることがあります。
監査証拠を評価
収集した監査証拠は、ISO規格の要求事項や関連する手順やルールを満たしているかどうかを評価します。監査の目的に対する適合性を確認します。
このプロセスに従うことで、監査チェックリストから始まり、詳細な監査証拠を収集し、それを評価して監査の結論を導くことができます。
作成したチェックリストをもとに、質問して、証拠(文書など)を集めて確認して、要求事項を満たしているか確認します!
(2)監査証拠を得るための具体的な方法
この方法は、特定の手順やルールが文書に適切に記載され、それが実施されているかを確認するための手順を示しています。
- 被監査者にチェックリストの項目を質問
- その内容(手順、ルール)が書かれた規定、手順書等の文書を出してもらうよう質問
- チェックリストの質問に該当する手順・ルールの個所を確認し、その内容を疑問形にして質問
- 実施された証拠を要求
- 証拠の内容を確認
被監査者にチェックリストの項目を質問
例: 「このプロセスで特定の手順やルールが適切に実施されているか確認します。最初の質問は、この手順またはルールが記載されているかです。」
その内容(手順、ルール)が書かれた規定、手順書等の文書を出してもらうよう質問
例: 「この手順またはルールが文書化されている場所を教えていただけますか?」
文書をよく見て、チェックリストの質問に該当する手順・ルールの個所を確認し、その内容を疑問形にして質問する。
例: 「この文書には、『○○手順』と書かれていますが、そのように実施されていますか?」
実施された証拠を要求する。
例: 「この手順が実施されたことを示す証拠を提供していただけますか?」
証拠の内容を確認する。
例: 「提供された証拠を確認し、手順が適切に実施されたことを確認します。」
この方法を使用することで、チェックリストの項目に従って手順やルールが適切に実施されているかどうかを確認し、監査証拠を取得できます。
監査証拠を収集するための質問例と返答例を示します。これらの方法を使用することで、確実に監査証拠を取得できます。
- 質問1: 発行前に、適切かどうかの観点から文書を承認していますか? (7.5 c))
- 返答1: はい。承認しています。
- 質問2: “文書の承認方法を定めた文書を見せてください。 (承認方法を教えてください。)”
- 返答2: 文書管理規定に定めています。
- 質問3: “文書管理規定には承認者を ‘文書管理台帳’ に明記するとなっています。 ‘文書管理台帳’ を見せてください。
- 返答3: はい。 ‘文書管理台帳’ はここにあります。
- 質問4: “文書管理台帳では食品安全マニュアルは社長が承認するとなっています。その証拠を見せてください。(食品安全マニュアルを見せてください。)
- ⇒証拠確認食品安全マニュアルの承認欄の社長印を確認する (※注:この質問は具体的な文書の承認プロセスに焦点を当てており、必要な証拠を取得するための明確な方法を提供しています。)
これらの質問と返答を通じて、監査員は特定のプロセスや文書の適合性に関する情報を確実に収集し、監査証拠を得ることができます。
質問を重ねていくことが大事!質問を重ねることで確実にできているかどうかを確認することができます。
質問して深掘りしていくプロセスは、内部監査だけでなく、あらゆることに当てはまる大切なことですね。
(3)チェックリストの利用法と注意点
監査チェックリストは、監査の効率性を高め、必要な情報を整理するのに役立ちますが、次の注意点に留意することが重要です。
- チェックリストはガイドラインである
- チェックリストから離れる柔軟性
- 証拠の重要性を理解する
- 記録の適切な管理
- チェックリストの改善
チェックリストはガイドライン
チェックリストは監査のガイドラインであり、全ての情報を網羅するものではありません。監査員はチェックリストを参考にしながら、状況に応じて柔軟に行動し、重要な証拠を見落とさないようにする必要があります。
チェックリストから離れる柔軟性
チェックリストはあくまで出発点であり、実際の監査では必要に応じてチェックリストから離れ、新たな洞察を得るために他の質問をすることがあります。
問題やリスクが浮上した場合、監査員はその問題に焦点を当て、追加の情報を収集することが重要です。
証拠の重要性を理解する
チェックリストを使用する際、監査員は証拠の重要性を理解しなければなりません。
どのような証拠が問題点を明らかにするのか、マネジメントシステムの適合性を評価するのかを把握し、それに基づいて証拠を収集します。
開かれた対話
監査は被監査者との対話の機会でもあります。
チェックリストを使用しながらも、オープンで建設的な対話を促進し、被監査者からの情報や説明を収集しましょう。
記録の適切な管理
監査員は収集した情報や証拠を適切に記録し、文書化する必要があります。これは監査の透明性と信頼性を保つために重要です。
チェックリストの改善
監査プロセスの一環として、チェックリストを定期的に見直し、改善していくことが良い実践です。新たなリスクや法規制の変更に対応するために、チェックリストをアップデートしましょう。
監査チェックリストは、監査プロセスをサポートするツールであると同時に、柔軟性と判断力が必要な監査員の手段でもあります。情報を収集し、問題を明らかにするために、適切なバランスを保つことが成功の鍵です。
チェックリストは全てを網羅しているわけではないので、質問を重ねていく必要があります。
被監査スタッフと対話を通してコミュニケーションをとりながら、情報を集めます。
それをもとに適切な記録を作成しましょう!
またチェックリストを見直して次の監査に活かすことも重要です。
部門ごとに監査チェックリストを作成
内部監査は、ISO規格に関わる全ての部門・業務に対して行わなければいけないので、組織表に記載している部門ごとにチェックリストを作成する必要があります。
被監査者の監査準備
被監査者との協力が必要
内部監査は、監査員と被監査者との協力的なプロセスであり、被監査者の協力が必要です。以下は、被監査者が監査に備えるためのステップです。
- 文書と記録の整備
- 差異の確認
- システムの見直し
文書と記録の整備:
監査実施場所に必要な文書や記録を全てそろえておきます。これには、マネジメントシステムの手順書、ルール、規制、計画、レポートなどが含まれます。
事前にチェックリストが配布されるので、それをもとに必要文書を確認します。監査員がこれらの資料にアクセスできるように整理し、容易に見つけられるようにします。
差異の確認:
監査に備えて、被監査者は現行の業務手順とマネジメントシステムの文書類との差異を確認します。
どの部分で手順に適合しているか、どの部分で適合していないかを明確に把握します。これにより、監査の準備が進捗し、適合性の改善が可能になります。
システムの見直し:
被監査者は自身の業務手順やマネジメントシステムについて見直しを行います。
具体的には、業務手順に改善すべき点がないか、マネジメントシステム全体に改善の余地はないか、以前の処置や改善活動が有効だったかどうかなどを確認します。
これにより、監査中に発見された問題に対処するための準備が整います。
被監査者の協力と準備は、監査プロセスの効率性と成果に大きく影響を与えます。被監査者が監査員と協力し、必要な情報と証拠を提供することで、監査の進行が円滑になり、改善の機会を特定しやすくなります。
事前準備は非常に大事!なんでも準備は大切です。スムーズに進められるように確認しておきましょう!
まとめ
チェックストを作成することは、効率的に内部監査を行う上で非常に重要なツールです。しっかりと作り込んで、チェックリストを活用しながら内部監査を行いましょう!
チェックリストが準備できたら、いよいよ実際に内部監査を進めていきます。内部監査の実施についてはこちらの記事を確認してください。
監査のチェックリストって何?そもそもチェックリストについてわかりません!